top of page

​八ヶ岳山麓への瑞穂メガファーム進出について

建設予定地は天竜川の最上流部
特に影響が深刻な水資源への3つの懸念

八ケ岳山麓の風光明媚な場所に、八ヶ岳中央農業実践大学校があります。
270㌶の敷地を有し、「家族農業の後継者」を育てるべく全寮制の教育を行っています。
ところがこの秋、同校を経営する公益財団法人農村更生協会の経営悪化が表面化しました。
打開のために全国最大規模のメガファームを同校の敷地に誘致する計画を進めています。
全国最大級の酪農企業、有限会社瑞穂農場(本社茨城県)が進出し、乳牛1200頭を飼う施設をつくる計画です。
乳牛はコンクリート牛舎から外に出さず、経済効率を徹底追求する経営をすることになります。

今回のメガファームの建設予定地は、天竜川の最上流にあたる柳川や弓振川のすぐ近くとなります。
この水はやがて諏訪湖へと流れ込み、天竜川となって愛知県、静岡県を流れ遠州灘へと流れ込みます。
幹川流路延長は213キロと日本でも9位の長さを誇るこの川の最上部に建設されるメガファームは、
たくさんの方の生活と未来を生きる子どもの世代への影響を真剣に考えないといけない案件です。

①牛の糞尿処理による環境への影響

メガファームからは1日100㌧以上の糞尿が排出されるとみられています。それらは堆肥にされる予定ですが、堆肥全量の行き先がなければ同校内に積み置かれる懸念があります。ハエの駆除剤の散布や、堆肥施設が故障した際の糞尿の行方、汐への流入も不安です。

②自然災害によるリスクが大きい

近年、異常気象による想定外の自然災害が多発しています。施設の予定地はたびたび停電が起こる地域で、2年前には1週間にわたる停電がありました。さらに原村のハザードマップにあるように土砂災害に襲われる危険もあります。長期の停電や土砂崩れ、鉄砲水によってメガファームの電源が失われた場合、どうなるでしょう。搾乳機はバックアップ電源があるとしても、糞尿処理やオゾン脱臭、浄化槽などの機能は停止する可能性があるのではないでしょうか。

③家畜に疫病が発生したらどうなるのか

毎年のように口蹄疫や鳥インフル、豚コレラなど家畜の伝染病が発生しています。万が一、疫病が発生すれば周辺地域を含めて殺処分となり、法律により近隣敷地内に埋めなければなりません。子牛を含めればおよそ2000頭という牛たちが八ケ岳山麓に埋められたらどうなるでしょう。地下水や土壌の汚染に加え、観光への影響は計り知れません。

経営への疑問や地域への影響

大学校の教育理念はどこへ

八ヶ岳中央農業実践大学校は、「家族農業の後継者を育てる」という理念のもと地元から土地を分けてもらった経緯があります。同校の教育理念とメガファーム誘致とは矛盾すると考えます。

「日本で最も美しい村」のイメージを損なう恐れのある計画

八ヶ岳山麓の同校の牧歌的な風景は、「日本で最も美しい村」連合に加盟する原村のイメージを高め、観光地としての八ヶ岳の魅力を発信し続けてきました。また住民にとって愛着のある特別な場所でもあります。さまざまなリスクを抱えるメガファームの建設は、住民が協力して築き上げてきたそのイメージを大きく損ないます。

​いま本当に必要なものは?

畜産業の将来を考えたとき、メガファームという選択が間違っているのか、という問いの答えは現時点では分かりません。ただ、早ければ来年、2021年3月には着工の可能性がある中で、直前に開かれた説明会の内容は上記の不安や疑問に対して納得ができるものではありませんでした。

様々な環境問題は起きてしまってからは取り返しが付きません。また水はすべての暮らしや自然、命を支えるかけがえのないものです。酪農を巡る水質汚染の問題はニュージーランドはじめ、世界中の国々で起きています。
もちろんその解決のために酪農業界のたくさんの方々も努力されています。

 

この出来事を八ヶ岳だけの問題とせず、日本、世界の未来のために、共に考えて頂けませんか?

 

bottom of page